20年熟成の『黒みりん』?!甘強酒造が甘みと旨みの強いみりんを造れる理由

みりん蔵紹介

ある日私が出会ったのは私と同い年のみりんだった。

こんにちは。みりんソムリエ・宇野友香子です。

みりんが好きすぎてみりんをそのまま飲んじゃうちょっと変なやつです。みりんはそのまま飲んでも美味しいんですよ。

【オススメ】飲んでみて美味しかった本格本みりん総まとめ!【随時更新】

 

こんな活動をしていると、もはやみりんの方から私を求めてくるというか…ある日、一本のみりんに出会いました。

それがこれ。

「えっ!今まで見たことない…色くろっ…黒くない?!しかも20年って書いてある…20年以上前に作られたってこと?しかもしかも製造してる会社名が甘みが強いで『甘強(かんきょう)酒造』?!」

気になることがありすぎて…これは…直接行って確めるしかない…!

愛知県のみりん蔵『甘強酒造株式会社』へ

というわけでやってきました。甘強酒造があるのは愛知県蟹江町。名古屋駅から電車で10分ほどの便利な街ですが、めちゃくちゃのどかです。

駅から車で5分ほど行くと見えてきたのがこちらの建物。

なんか壁の装飾がすごいし歴史博物館かな?と思ったら、こちらが甘強酒造の本社らしい。

近づいてよくよく見てみると「登録有形文化財」の文字が。登録有形文化財って普段使いもできるの?!

ますます謎な甘強酒造…。

今回お話を聞いたのは甘強酒造・専務の山田さん

結構な高さのみりんタンクの上でも気にせずみりんトークが止まらない素敵な方です

(こっちは落ちないかが心配で全然話が聞けなかった…)

 

宇野
宇野

山田さん!本日はよろしくお願いします!

山田さん
山田さん

遠くからようこそ。こちらこそよろしくお願いします。

宇野
宇野

さっそくなんですが、甘強酒造のみりんがどうやって作られているのか知りたくて…。

山田さん
山田さん

はい。せっかくなので実際に作っているところを見ながら話しましょう。案内しますね。

甘強酒造の工場へ潜入!

山田さん
山田さん

まず、こちらのタンクに入っているのがみりんの元である『もろみ』です。みりんはもち米と米こうじを混ぜたものを米焼酎の中に入れておくことで、お米の甘みを引き出します。

 

このタンクは液体のように見えますが、下の方にはもち米と米こうじが入っている状態です。もう少ししたらこれをしぼって、液体だけの状態にします。

宇野
宇野

おおお!すごい大きなタンクですね!このタンクにはどれぐらいの期間入れておくんですか?

山田さん
山田さん

発酵の進み具合をみて調整はしますが、だいたい2ヶ月ぐらいですね。

でもそれですぐみりんが完成するわけではなくて、うちの『昔仕込本味醂』だとそこから2年ほど寝かせて熟成させます

 

宇野さんがよくスーパーで見かけるような一般的なみりんですと、ほとんど熟成させずに商品化されるので商品になるまでの期間は半年ほどみたいです。

宇野
宇野

商品になるまでの期間が4倍も違う…!

そこまでの違いがあるとは知りませんでした!

宇野
宇野

商品化されるまでに2年間も熟成させるとのことですが、みりんを熟成させるとどんな変化があるんですか?

山田さん
山田さん

熟成が進むにつれて見た目だけでなく味や香りにも変化が起こります。具体的には見た目はだんだん色が濃く、味はアルコールがまろやかになり深みのある味になり、香りも強く華やかになります。

宇野
宇野

人間の手を加えなくてもそういう変化がおこるのは面白いですね!だから20年熟成みりんはあんなに真っ黒で黒蜜みたいに濃厚なんですね…!

山田さん
山田さん

実は20年みりんは売り出した頃は10年みりんだったんですよ。今は正確にいうと24年ものですね。

宇野
宇野

私、まさかのみりんと同い年だった…。

みりんと日本酒、同じお酒だけど違いはあるの?

宇野
宇野

これはなんの機械ですか?

山田さん
山田さん

これは日本酒を蒸留して焼酎にする機械です。みりんの製造には米焼酎か醸造アルコールが必須なのですが、焼酎から自社で生産しているところは実はとても少ないんです

宇野
宇野

え!そうなんですか?!昔ながらのみりん蔵では全部1から自社生産しているものだと思ってました…。焼酎も自社のものを使っているのは、日本酒とみりん両方製造されている甘強酒造ならではだったんですね。

 

ちなみに日本酒(焼酎)とみりんてぶっちゃけ造るのに難しさの違いとかはあるんですか?

山田さん
山田さん

個人の意見としては日本酒の方が難しいと思います。

 

日本酒はアルコールがゼロのところから徐々にアルコール濃度が高くなっていくものなので、途中で腐る可能性も全くないとは言えません。発酵の速度なども調整が必要です。

宇野
宇野

なるほど…気を抜けない、ということですね。

山田さん
山田さん

逆にみりんの造り方は『アルコール40度の米焼酎にもち米と米こうじを入れる』ところから始まります。そこから徐々にアルコール度数が下がっていって最終的にみりんができるので、究極放っておいても腐らないんです。

宇野
宇野

へ〜(このままじゃみりんの取材に来たのに、みりんが簡単にできるみたいじゃないか…!)

みりんならではの難しさみたいなのもあるのでしょうか?

山田さん
山田さん

みりん造りで気を遣っているのは味のブレがないようにすることですね。みりんは日本酒と違って主に調味料として消費されます。

 

ウチのみりんはありがたいことに料理店などで使っていただくことも多いので、造るごとに味が変わったりしないように甘みや旨み成分を毎回数値で測定して調整しています

宇野
宇野

なるほど〜!面白いですね!

確かに日本酒はワインなんかと一緒で『令和元年産の味を楽しむ』みたいなこともできますもんね。みりんと日本酒、同じお酒だけど、そんな違いがあるんですね。

甘みの強いみりんの秘密は『お米』にアリ!

山田さん
山田さん

みりんや日本酒造りはお米を蒸すところから始まります。これはお米を蒸すための機械です。

宇野
宇野

大きな機械!たくさんのお米を使うんですね。

山田さん
山田さん

ウチの看板商品の『昔仕込本味醂』や『国産純醸本みりん』は水あめなどの糖類で引き延ばしていません

 

スーパーのみりんコーナーに並んでいるみりんはほとんど「糖類(ぶどう等液など)」が添加されていますよね。もちろんそれを使わない分コストは高いけど、お米の甘みと旨みを大事にしています。

宇野
宇野

甘強酒造のみりんはなんというか、良い意味で愛知県らしいみりんですよね。甘みと旨みがほんとに強い。

圧倒的な甘さとキレ!『甘強昔仕込本味醂』は名前の通り黒糖のような甘さが特徴の一本 みりんレビュー#4

力強い旨みと上品な甘みを合わせもつ一本『国産純醸本みりん』みりんレビュー#10

 

山田さん
山田さん

ありがとうございます。家庭料理で使う時にはほんとにちょっとの量でも良いと思います。

 

どうしても買っていただくときは高く思われてしまうんですが、少しの量で効果があるので実はコスパがいいんです。

宇野
宇野

たしかに私も家で使ってて、ちょっとでも充分美味しくなります!

山田さん
山田さん

ウチのみりんはうなぎ屋さんで重宝してもらうことも多いんです。うなぎのタレの強い甘み、旨み、テリを出せるのはウチのみりんの強みですね。

 

最近ではフレンチのソースにも使ってもらっていて、フランスにも定期的に輸出してるんですよ。

宇野
宇野

フレンチソース!たしかに赤身のお肉とか合いそうですね!日本の伝統調味料が海外でも注目されるといいなぁ。

甘みと旨みの強いホンモノのみりんで日本の食を支える

取材中に山田さんが言葉にしていたのが「みりんは影の調味料ですから…」というフレーズ。

たしかに醤油や塩、味噌のようにみりんをみりんだけで使うことはほとんどありません。もしかしたら今まで一度も『みりんの味』を確かめたことすらない人が大半かもしれません。

でも日本人が大好きなホクホクの肉じゃがやツヤツヤのブリの照り焼きを作るには間違いなくみりんはなくてはならない存在。そして、『甘味料で引き伸ばされたみりん』と『お米の甘みと旨みだけを活かした本物のみりん』はもはや別物な理由が今回の取材でわかった気がします。

私が甘強酒造を実際に見て感じたこと、それは『たとえみりんに光が当たらなくても美味しい日本食を求める人がいる限り、変わらず本物のみりんを造り続ける』というまっすぐな気持ちでした。

日本人のこころの味を支える縁の下の力持ちに出会えた気持ちです。

 

甘強酒造の看板商品『昔仕込本味醂』や『国産純醸本みりん』などの詳しいレビューはコチラ

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